9月9日(日)〜 ツアースタート 〜
 かれこれ10年振りの海外旅行に思い切りドキドキしつつ、新宿駅にて成田エキスプレスの切符を購入・・・しようとしたところで「今出たばかりで次は1時間後ですよー」・・・こんな冴えない出だしで珍道中は始まりました。成田へも飛行機の出る1時間前というギリギリの時間に着き、「カフェでゆったりとコーヒーでも飲んで、と」という予定もむなしく、チェックインから搭乗までほぼ駆け足の、かなり慌ただしい出国となりました。

 機内に落ち着いてから、エンジンの点検だとかで1時間程遅れてようやく離陸。飛行中に恐る恐る隣の席の人に声を掛けると、やはり同じツアーのお仲間でした(その後で横一列皆そうだった事が判明)。寝たり起きたりを繰り返しつつ、気が付けば着陸態勢に・・・期待と不安に胸は高鳴ります。ロサンゼルスに着陸した飛行機を降り、事前に待ち合わせをお願いしていた(ひどく小心者なので!)雑誌の取材で同行されるM女史と合流、無事入国することが出来ました。用意していた片言の英語も「ドレクライ タイザイシマスカ?」の質問に出る幕はありませんでしたが・・・。

 そんなこんなで集合場所に着き、改めて空を見上げて少々がっかり。既にお昼頃という時間、「カリフォルニアの青い空!」と太陽の光に目を細める自分を想像していたのに、何だかぼんやりした白い空と微妙に湿った様な空気!後から聞けば、ロスはそんな感じなのだそうですね。でもその後関西組と合流してバスに乗り込みしばらく行くと、ようやく青空が見えてきました。鼻息も荒く、窓にへばり付くようにして景色を眺めながら、サンタ バーバラへ向かうバスに揺られて行くのでした。

9月9日(日)〜 サンタバーバラの街で 〜
 カリフォルニアでの記念すべき初めての食事は、ロスの空港からサンタ バーバラへ向かう途中で寄ったマクドナルド。・・・うむ、日本のマクドナルドの方が美味しい・・・。まだ皆お互いややぎこちなく、ほぼ一人一テーブルという状態でした。そしてこの後の一服で、私の「禁煙@CA 計画」は早くも終了・・・そう、実は「ワイン界のプロフェッショナルが集まるんだから喫煙者もほとんどいないだろうし、これを機会に禁煙するか!」と思い、吸いかけの一箱しか持参しなかった私。しかし実際はヘビーな方が多く、禁煙どころかむしろ一日の本数が増えて帰ってきました。しかもこの「吸いかけの一箱のみ」というのが後でとんでもない事になろうとは・・・。

 その後バスが向かった先は、サンタ バーバラのワインショップ『WINE CASK(ワイン カスク)』。ところがバスを降りて店に向かう皆を尻目に、旅行前からお知り合いの『268(にろや)』
(→ http://www.ceres.dti.ne.jp/~riki/ )のリキさんと共にサンタ バーバラの街へ写真を撮りに繰り出しました。ロスに着いた時のあのどんよりとした雲が嘘の様に消え去り、空は見渡す限りの青・青・青!!それにまぶしい太陽と、カリフォルニアはこうでなくちゃ!と感激モードに浸っていました。パラソルを広げたカフェが溢れ、休日の昼下がりをコーヒーやビールをお供にのんびり過ごす人々。「ビールぅ・・・」とちょっと羨ましげに眺めつつ、思い思いに写真を撮りまくりました。もうどこを切り取っても絵になる街でしたよ!

9月9日(日)〜 初ワイナリー訪問! 〜
 そしていよいよ初ワイナリー訪問!海岸近くに建つ、青いサンシェードが目印の『Santa Barbara Winery(サンタ バーバラ ワイナリー)』(→ http://www.sbwinery.com )へとやって参りました。ここでこの旅行で欠かせない超重要人物、通訳の康子・ギャドビーさんと合流。小柄でタフな康子さんはチャキチャキとしていて、素敵な笑顔はカリフォルニアの太陽の様。カリフォルニア ワインの知識も驚く程豊富でいらっしゃる!とても素敵な女性です。ワイナリーのマーケティング担当であるCraig Addisさんも優しくてにこやかな方(ここに住むと皆あんな笑顔になれるのかしら??)。地図を指しながらカリフォルニア ワインの概略について丁寧に説明してくださいました。最も強調されていたのは「南北500kmにも及ぶ栽培地域を持つカリフォルニア ワインを、ヴィンテージチャートでひとくくりに判断するのは危険である」という事。なるほどと心に残る一言でした。

 ピノ、カベルネとお馴染みの顔の他、新しいブランド‘LAFOND’のシャルドネとピノ、最後にジンファンデルのレイト ハーベストを試飲。ピノはエキゾチックな香りの印象が強く、シャルドネはパワフルで凝縮感がありながらほんのり残る苦味が心地よい印象でした。レイト ハーベストは、81年の初リリース以来ワインになったのは5回のみで、2年連続で造られたのは99年と2000年。今回はワイナリーの方以外で飲むのは私達が初めて(!)という2000年を開けてくださいました。涼しい気候ならではのベリー系の風味が口中に広がり、98年のジンファンデルのワインを詰めたというチョコレートと実にマッチして幸せな気分になりました(もちろんチョコはお土産にゲット)。そしてもうひとつ印象的だったのは、9/7に収穫したばかりのヴィオニエのジュース!リンゴや洋梨、梅、紅茶の風味が感じられ、当たり前だけどフレッシュで美味!これが発酵すると桃の味が出て来るはずとの事。お酒の弱い当店の女性スタッフ Yurittiにも飲ませてあげたかった・・・!発酵前の冷却中にあり、沈殿が落ち着いてから100%樽発酵の予定で、アロマティックに仕上がればシラーに加えるそうです。

 ワイナリーを後にして、ホテル『Fess Parker's Double Tree Resort』へ。18時前に到着する頃にはすっかり外も寒くなっており、カリフォルニアの一日の寒暖差を身をもって実感しました。そしてホテルの立派さといったら驚き!高さはないけれど、どこまで敷地なんだ??という広さ。部屋も広い。一人一部屋なのに何故かセミダブルが2つある!以来ツアー中のホテルは全てこんな調子で、もう二度とないかもしれない贅沢気分を満喫させて頂きました。

 この日のディナーはホテル内のステーキハウスにて。この時点でもぎこちなさは消えておらず、始まる前は皆壁際にへばりつくようにして立ちながら名刺交換などしていました(実は今回のツアーの参加者の中には直接または間接的に知っている方がちらほらいらっしゃいまして、私としてはそれが何とも心強かったです)。泡で乾杯の後、美味しいワインに舌鼓を打ちつつお料理を堪能しました。但しこの日から肉と戦う事になるのですが・・・。最後にデザートだけチョイス出来る事になっており、私は‘アップル ア ラ モード’をオーダー。かなりお腹が膨れていたのですが、リンゴならさっぱり食べられそう・・・と思っていたら大間違いで、お皿一杯のアップルパイの上にバニラアイスが乗っていて、とても美味しかったのですが、それはそれはきつかったです。

 その後、数人でホテルのバーにて一杯。もちろんワイン?いえいえ、皆が手にしていたのはビールです。こうしてサンタ バーバラの夜は更けてゆくのでした。第一日目終了、お疲れ様でした。

9月10日(月)〜 サンタバーバラのワイン達 〜
 6時起床。カリフォルニアへ来て初めての朝をサンタ バーバラで迎えました。普段から割と滅茶苦茶な生活を送っているせいか時差ぼけもなく、朝に滅法弱い私に対する周りの心配も無駄なくらい、毎朝予定通りに起きる事が出来ました(じゃあ普段からそうしなさい、という声もちらほら・・・)。隣の部屋のF氏(偶然昔のバイト先で知り合っていた)を叩き起こして朝食へ。すっかり荷物のパッキングも済んで余裕な方もいらっしゃれば、しっかり寝癖をつけたままの方もいらっしゃる中、運ばれてきたお皿を見て呆然。大きなお皿いっぱいのオムレツとハッシュドポテト!結局半分しか食べられませんでした。この時点では長袖が手放せない程寒かったのですが、日中は30℃以上になるとの話を聞いている側から霧で暗かった空も次第に明るくなり、青く染まってゆきます(慣れるとかなり快適な気候です)。チェックアウトを済ませ、いざロスオリボスの街へ!

 1時間程バスに揺られて着いたところは『Fess Parker Inn(フェス パーカー イン)』
(→ http://www.FessParker.com )、割と静かな住宅街といった風情の一角にありました。ここではサンタ バーバラのワインを試飲。部屋に通されると10社程のワイナリー(Sanford、Tantara、Bridlewood、Lucas&Lewellen、Firestone、Melville、Kalyra、Buttonwood、Byron、Zacamesa・・・?)の方と約40種のワイン達が迎えてくれました。試飲会に行き慣れていない私はうっかり結構飲んでしまい、小さな部屋に沢山のワインと人々が詰まっているという状況も手伝って、朝からほろ酔いモードになってしまいました(情け無・・・)。そんな中でも印象に残っているのは次の3本。

●Bridlewood Winery 99 Arabesque(現地価格 $14.00)
 グルナッシュ、ムールヴェードル、カリニャン、シラーのローヌブレンド。実はこの時体調的に赤を受け付けなかったのですが、これは何故か心地よく感じられたので一番印象に残っています。その時のテイスティングメモによると「超まろやかまろやか!」(意味不明・・・)。

●Tantara Winery 99 Chardonnay Bien Nacido Vineyard(現地価格 $24.00)
 始めに申し上げておきますと、私は(今では数少ない)“樽コテ”シャルドネ ファンなのです。これはこってりとまでは行かないものの、トロピカルフルーツとナッツの風味がボリュームたっぷりに溢れ、何より余韻に花の香りがとても長く感じられたのが印象的でした。ちなみに『カーヴ ド リラックス』(→ http://www.re-lax.co.jp/ )の阿部さんはここのピノを絶賛してらっしゃいました。

●Kalyra 99 Olange Muscat(価格不明・・・)
 レイトハーベスト。‘オレンジ マスカット’というのはオレンジの香りがするマスカット種で、一口飲めば納得。オレンジティーの香りがとても優しくて、おかわりまでして(笑)かなり癒されました。この品種はオーストラリアのBrown Brothersでよく知られていますが、ここのワインメーカーさんもオーストラリアのご出身。しかもお名前を‘Mike Brown’さんとおっしゃる。だから何?と聞かれても困るのですが、まあ何となく・・・。

という訳で、酔い覚ましに写真を撮りながらご近所をふらふらと散策。これがまだ午前中とは信じがたい気分のままバスに乗り込み、次はパソ ロブレスに向かいます。

 約2時間の道のり、葡萄栽培協会のDenisさんよりパソ ロブレスの土壌や気候についての説明がありました。まずぶどう栽培に一番影響を与えているのが日本海流。北上してアラスカを抜けカリフォルニアに降り、 冷たい空気を運んできます。水の温度が他の地域に比べて、冬は暖かく夏は冷たくなるのだそう。太陽が昇る前に霧が発生するのもこのせいで、一日の寒暖差(昼40℃〜夜10℃)が生まれ、暑さによりぶどうは熟し、冷たさにより酸がしっかり乗ります。土壌もある程度の肥よくがあり、パソは恵まれているとおっしゃっていました。ただ元々牧草地だったこの辺りは雨が降らないぶどうの生育期には草も生えず木々は枯れてしまうのですが、今では灌漑設備が整っているので野菜やぶどうの栽培も可能となっています。確かに窓からの眺めでは放牧場が点在し、地面はカラカラで草木も枯れ、川も干上がっている程でした。なのに畑ではぶどうの葉が青々と茂っているという不思議な光景に、この地で初めてワインを造ろうとした方の努力と偉大さに拍手を送りたい気分でした。バスはサン ルイス オビスポを抜け、更に北上します。

9月10日(月)〜 パソ ロブレスのワイン達 〜
 相変わらずのどか(そうに見えて実は多大な努力が詰まっているのですが)な風景を眺めながら2時間ほどバスに揺られ、『EOS(イオス)』(→ http://www.eosvintage.com/ )に到着。スラリと長身のマーケティング担当 Christopher VixさんとワインメーカーのStieveさんが笑顔で出迎えてくださいました。ここは車のレース関係で富を得て設立された『Arciero Winery(アルシェロ)』が6年前に新しいパートナーと組んで、ワイナリーまで新しく作ってしまったというブランドです。確かにきれいで立派な建物!!まずはラボや除梗機、発酵槽や熟成の部屋などを、ぶどうの収穫から瓶詰めまでの説明に沿って見学しました。出荷待ちの倉庫に摘まれた箱に「TOKYO」の文字を発見!中身が何かわかりませんでしたが、どこへ届けられるのでしょうね・・・。
 
 その後いよいよテイスティング。広く電飾で飾られた部屋にEOSの他10社程(Chumeia Vineyards、Midnight Cellars、Coyote Creek Vineyards、Eberle Winery、・・・etc.)のパソ ロブレス生産者が集まってくださいました。でもやはり印象に残っているのはEOSのワイン達。シャルドネはパインの甘い香りたっぷりで後味がナッティ。カベルネは革の香りにカラメル香も感じられ、タンニンの渋みとフルーツの甘味のバランスがGOOD!プティ シラーは繊細で、粗さが全く感じられず滑らか。モスカートもジンファンデルのレイト ハーベストも紅茶の香り(特にモスカートはアールグレイのレモンティ!)が鼻に抜けて何とも幸せな気分にうっとり・・・。今まであまりデザートワインを飲む機会がなかったけど、今回のツアーでは何度も「うっとり」させられましたぁ。ちなみに当店でもプティ シラー置いてますので、もう是非是非お試しください。名前の由来にぴったりのエチケットも素敵ですよ。
(→ http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=288

 それから参加されたワイナリーの皆様とランチ。サラダにもアーティチョーク、お肉の付け合わせにもアーティチョークで気になって一人が尋ねると、アメリカではとてもポピュラーな食材のひとつだそう。美味しいワインとお料理に話も弾みます(もちろん康子さんの通訳にて)。灌漑には井戸水(地下水)を使っているとの事、温泉(ぬるいけど)も沸いていてスパもいくつかあるらしいのですが、この温泉が実は重要なポイント。昔ポルトガル人がここの温泉で体を癒しにやって来て(・・・だったと思う)初めてぶどう栽培を始めたのがパソ ロブレスのワイン造りのルーツだとか。そして「消費者のニーズに合わせて味が変わってしまうのでは?」と興奮気味の268のリキさんの問いかけに、「パソ ロブレスさはなくさないので安心してください」と力強く答えてくださいました。
 その後車内では、さすがに皆様お疲れモードで寝ていたようですが、何故か興奮して眠れない私はひたすら車窓から流れていく風景を目で追っていました。バスはモントレーへ向かいます。

9月10日(月)〜 合理的なワイナリー 〜
 パソ ロブレスを立って2時間程走り、到着したのは『Delicato Vineyards(デリカート ヴィンヤーズ)』(→ http://www.delicato.com )。まずはワインメーカーのイグナシオさんより概要についてお話を聴きます。1924年創立(これはファミリービジネスでは古い方だそう)、カリフォルニア全域にワイナリーを持ち、まずはこのモントレーにあるサン バーナビィ畑にひとつ、ローダイの街に500haの畑にひとつ、畑はないけれどマンティカの街に醸造所としてひとつ、そしてボトリング専門にヒールスバーグにひとつ。カリフォルニア中で7番目の規模だそうです。そして驚くのはここからで、何と全体で4,000haの畑を所有!想像しただけで気が遠くなる程の広さを誇ります。ここから‘DFV(Delicato Family Vineyards)’‘Monterra’‘Vine Select’等の自社ブランドワインが生まれますが、4割はロバート ペコタ、ボーリュー、ベリンジャー等にもぶどうを供給しています。その量年間ぶどうにして13万t、1,000万ケース分処理をしています(これを行うのがマンティカにあるワイナリー)。自社ブランドでのご自慢は‘Delcate Monterey Vine Select’。メルロ、シラー、シャルドネの3種で収穫は全て手摘みで行われています。年産3,000ケースと少量ながらもハイクオリティーなウルトラプレミアムワインです。

 その後は醸造責任者のビル ビトロリッチさん(?)からのご説明のもと、砂埃舞う中バスで畑めぐり。広大な畑ではぶどうの葉が風に揺れてものすごく気持ちよさそうだったのがかなり印象的で、しっかりと脳裏に焼き付けられました。畑の中に何やらロボチックな機械を発見、何と2列一緒に収穫出来る機械(18台所有、樹を揺らして実だけ落ちる)で、これで1日150ha収穫出来るそうです。霜を防ぐために280個のポンプを設置し、スプリンクラーで水を捲く事8,000万L/時間!これは灌漑用に使われ水量より全然多く、いかに霜の影響を受けやすいかを物語っています。途中バスを降りて直に畑を見学。
・「スマートダイズ(?語尾が定かでなく・・・)」と言って、下の枝とはみ出た枝を切り、針金を張って絡まる様にして2倍植えられる様にしている。
・灌漑用のチューブは下の方に通し、より地面深くまで水が行き渡る様にしている。
・オーガニックの考え方も、害虫を捕るディーゼルを使うより(排気ガスが出るため)適量の農薬を使っている。
・幼木を風から守るパイプ(ワイナリーによっては牛乳?の空きパックを利用しているところもあり)は縦にスライド式になっていて、作業がし易い工夫がされている(これには皆から「お〜!」と歓声があがる)。

等々、全てにおいて何とも合理的な畑なのでありました。

 陽も傾き風が冷たくなる頃、屋外でテイスティング&ディナータイム(ランチが遅かったためお腹がすかず・・・)。DFVはどれもフレンドリーで親しみ安く、Monterraは凝縮した果実味とミルキーさが印象的でした。太ったお母さんの作ったお料理は美味しくて(おつまみに出てきたアボガドのディップは何故か辛くて辛くてビールが飲みたい気分でしたが)、相変わらず苦しくなる程食べた後に出て来たデザートはチーズケーキ ストロベリーソース添え・・・ごめんなさい、もう食べられません!

 その晩、皆でホテルを出て敷地内の地ビール屋さんで星空を眺めながら乾杯。・・・うむ、マクドナルドに続き、こちらも日本の方が美味しいか・・・?帰り際に遠くから聞こえるオットセイの声を追ってフィッシャーマンズワーフまで出たけれど、暗くてその姿は見えず。その代わりに港街のきれいな夜景が見れました。さあ、明日の朝も早いですぞ。

9月11日(火)〜 何とも印象深いワインメーカーさん 〜
 港町にカモメが爽やかに空を舞う(日本ならカラスだろうか・・・)朝7時15分、本日始めの訪問先に向けてバスはホテルを出発しました。延々と続くぶどう畑では霜除けにスプリンクラーで水撒きの最中。遠くの山並みは輪郭を残しながらも霧に霞んでとてもきれいなのでした。途中、大型バスは通れないとの事で小型バスに乗り換え、モンテベロの急な山道をひたすら登りまくります。そして「こんな場所に?!」というくらい山の上の方に畑が見えて来ました。登り切って着いた所は『Ridge Vineyards(リッジ ヴィンヤーズ)』(→ http://www.ridgewine.com/ )。海抜800m、太平洋まで20km。ボルドーと似た気候を持つこの地は、涼しいけれど、こんな山の上なのに比較的風が弱いのが印象的でした。印象的と言えば、ここのワインメーカーであるポール トレイパーさん、何と私の父親に顔がそっくりで、視線は釘付けでした(もちろん父は純日本人ですが、外人に間違われる顔を持っているのです)。どんな顔か知りたい方は(いないか・・・)写真をクリックして大きくしてご確認ください。

 珍しく石灰岩に恵まれたここモンテベロでは、ボルドー品種と少量のシャルドネが造られています。案内された熟成庫には、2000年のモンテベロ(新樽100%)とサンタクルーズが寝かされていました。99年のモンテベロは現在ボトリングの最中で、空いた部分にはこれから今年のモンテベロが置かれるそうです。ちなみにシャルドネ、ネビオーロ、ローヌ系の品種の場合は樽香が強すぎてしまうので新樽は使わないとの事。ここから樽について、自分のワイン造りについて熱く語り始めました。

 フランスで12年間に渡り6種の樽を調査・実験した結果、当時一番人気のあった樽はバルト海地方産のオーク樽でしたが、第二次世界大戦により破壊されてからは製造が中止になり、最も不人気だった中央フランス産のオーク樽しか多く使えませんでした。ところが36年前にリッジへやって来た彼は、アメリカ産のホワイトオークに目を付けます。何故フランス産を使わないのか・・・?それはボルドーを真似たワインを造りたくなかったからです。気候も土壌も違うのだから、似たニュアンスを入れたくなかったと力説。今でもいろいろな樽を試しながら、翌年には良かった樽の割合を増やしているそう。過去15年間、常に味は自分で最終決断して来たポールさん。大学では数字で教えられるが、毎年ぶどうの味は変わるし、自分のテクニックで収穫前のサンプリングをアットランダムに採り、ジュースを味わって確認する事が大切。料理だって本通りに作っていては自分の味が出せないのと同じで、ワイン造りにもレシピや方程式はないのです、と。

 熱のこもったお話の中、2000年のモンテベロ(カベルネ)をバレルテイスティング。そのしっかりとした味わいを感じながら、話の続きに聞き入りました。

 発酵も自然酵母で行い、マロラクティック発酵にも人工的にバクテリアを加えたりせず、SO2も極少量、ワイン造りに必要なものはぶどう自身が全て持っているので、極自然なアプローチで十分というローテクな部分と、最終的には自分達の味覚で決めるため、ラボを通してぶどうからワインになるまで常に測定・分析していくというハイテクな部分。このローテクがハイテクに支えられ、リッジのワインは造られます。アメリカでは「ワインメーカー」という呼び方をするけれど、「ワインを造る」というより、「ワインが出来るのを助ける・ガイドする」という、少数派の哲学的な考えを持っているのですよ、と更に力説。

 その後早足でセラーの中を見学(お話が長くて時間が押しているのです!)。カリフォルニアの中でもこれだけ古いのは珍しいという120年前に建てられたセラーの内部は、上の層との断熱材に土と藁を混ぜたものを使い、1年間を通して温度と湿度が保たれていました。樽の積み方も古い方式を採用する事により、各樽の試飲もし易く、ラッキングした後の澱も樽を置いたままで水圧で洗えるそうです。ここでは2000年のジンファンデルをバレルテイスティング。堅さはあるものの、複雑味がなく素直な味でした。ポールさんのお話では、リッジのZinは9年位のうちには飲んで欲しい、でも99年のリットン スプリングスは25年位まではO.K.との事ですよ。

 最後に昨日収穫したばかりのモンテベロのメルロの甘ーいジュースを試飲して終了。自分達のこだわり全てを一生懸命話せるだけ話す勢いだった熱いポールさんの話を、皆様にも出来るだけお伝えしたく(ちょっとひいき・・・?)、私まで熱くなって今回はだいぶ長くなってしまいました。ここまできちんと読んでくださった方、ありがとうございます!でもおかげで時間が押しまくり、次の訪問先へは大遅刻だったのですが・・・(笑)。

9月11日(火)〜 CAの太陽の様に明るいワイナリー 〜
 「早く早く!」と堀氏に追い立てられる様にバスに乗り込み、次に向かうは『Wente Vineyards(ウェンテ ヴィンヤーズ)』(→ http://www.wentevineyards.com )。1883年にここリヴァモア ヴァレーにカール.H.ウェンテが創設し、4世代に渡って受け継がれているカリフォルニア最古のファミリー経営ワイナリーで、ワイン インスティテュート設立への尽力、ヴァラエタルワインの初めての導入など、カリフォルニア ワイン隆盛の立役者的存在なのです。

 この日はここで野外コンサートがあるため、その準備に多くのスタッフの方々が動き回っていました。そんな中、私達はランチを楽しみながらのテイスティングです。大遅刻してしまった私達をも明るく迎えてくださったのは、地域輸出部長のMichael Parrさん(頂いた名刺の裏には日本語、しかも縦書きで「マイケル・パァー」と書かれており、この「ァ」の存在が気になる私達・・・)と、レストランのスタッフ達。女の子も男の子もとってもキュートで、笑顔でチャキチャキと働く姿にはほれぼれする程でした。Michaelさんのお話の後、メインにお魚かお肉かの選択で、「ここはポークチョップがお薦めですよ」との堀氏のお言葉に素直にほぼ全員がポークチョップをオーダー。これが後で命取りになろうとはまだ誰も気付いておりませんでしたが(その話は次回に続く)、それにしてもかなりのボリュームにとても全部食べきれないのでした。ワインはスパークリングに始まり、以下のラインナップです。

 ・Mirassou Pinot Blanc Monterey 99
 ・Murrieta's Well White Vendemia Livermore Valley 99
 ・Wente Vineyards Riva Ranch Reserve Chardonnay Monterey 99
 ・Wente Vineyards Crane Ridge Reserve Merlot Livermore Valley 99
 ・Castoro Cellars Zinfandel Paso Robles 99
 ・Concannon Petite Sirah Central Coast 98
 ・Wente Vineyards Charles Wetmore Cabernet Sauvignon Livermore Valley 99
 ・Wente Vineyards Late Harvest Riesling Monterey 98

 いずれも明るく親しみやすく、ここで働く皆さんのお人柄が表れていそうな味わいでした(テイスティングというよりも、普通にワインランチを楽しんでしまった私・・・ごめんなさい!)。今回は登場しなかったけれど、ここのワインは当店にも置いてありますので、是非青空を思い浮かべながら楽しんでみてください!
http://fujikonishi.vcube.net/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=495
http://fujikonishi.vcube.net/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=260
http://fujikonishi.vcube.net/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=259

 それにしても観光地としては最適なワイナリー!こうしてここのワインと共にお食事も楽しめ、野外コンサートの行われる会場では結婚式も挙げられるらしいし、敷地内にはあのグレッグ ノーマンが設計したというゴルフ場もあります。機会がありましたら是非訪れてみてください。そしてお礼の言葉と共にInformationをわざわざAir Mailで送ってくださったMichaelさん、ありがとうございました!!

9月11日(火)〜 ナパ突入、そして星の夜 〜
 遅めのランチを楽しんだ『Wente Vineyards』に別れを告げ、一路ナパ ヴァレーへ。そのまま時間がずれ込み、ナパ ヴァレーのホテルにチェックインしたのは予定より1時間遅れとなりました。ここでは268のリキさんと共に、ナパで日本酒を造っている杜氏さんの奥様(ハンドルネームを
‘ちゃん・りー’さんと言います。彼女のホームページはここ!→ http://www41.tok2.com/home/rikas/index.html )とお会いする事になっていたのですが、次の訪問先への出発準備が迫っていたので握手と名刺交換でお別れ・・・。きっとまた会いに行きます!!

 「ややフォーマルな服装で」との事で皆慌てて着替え準備を整え、今夜は『Franciscan Estates(フランシスカン エステイツ)』(→ http://www.franciscan.com/ )を訪問し、ディナーを頂きます。

 1972年に設立、1985年より現在クインテッサのオーナーでもあるAugustus Huneus氏がオーナーとなり、更に1999年にはジャグワインで有名なカナンデグアに買収されました。現在は

 ・Veramonte Estate
 ・Estancia Alexander Valley
 ・Estancia Monterey Estate
 ・Franciscan Oakville Estate
 ・Mount Veeder Winery
 ・Quintessa
 ・Simi Winery
 ・Ravenswood Winery

も共同経営となっています(Veramonteのみチリに創設)。「Each of our wines has its own singular way of expressing the ground from which it was born. Being a vineyard-based company is the essence of our philosophy.(それぞれのワインが、生まれてきた土地を表現する唯一のものなのである。フランシスカンの哲学は、ぶどう畑にある)」との言葉が表す通り、ここではワインの品質がぶどう品種の個性よりもその畑(土地)に起因するものとし、ブレンドする事により、それぞれのワイナリーから最もユニークで最高のワインを生み出す事が出来ると確信しているのです。訪れたゲストハウスには、長テーブルのある食堂を挟む様にして各ワイナリーの小部屋が設けられており、それぞれのワインを試飲させて頂きました。

 その後はディナータイムですが、頂く前に暫し黙祷を・・・。そう、この日、あの悲惨な事件がここアメリカで起きていました。日本にいる家族や友人の心配をよそに、この時点では情報不足で実際どんな状況になっていたのかほとんどわからず、同じ国にいながらも実感が沸いていなかったのは、申し訳ないですが事実なのです。

 そしていよいよディナーが始まった・・・のは良いのですが、いかんせんランチが遅かったため、ほとんど皆お腹がすいていない状態。しかもメニューに「Grilled Pork Chops」なる文字を発見!ランチにて頑張っても食べきれなかったポークチョップ、ここに再び現る・・・。更に頑張って頑張って食べましたが、ごめんなさい、やっぱり食べきれませんでした。シェフのEricさん、ほとんどの人が残してしまったのは、決して美味しくなかったわけじゃないんです(実際美味しかったですよ!)。

 楽しい宴の後、一服しに外へ出てびっくり!私達を見下ろす無数の星・星・星・・・。もうあまりにもきれい過ぎて大感動!天の川も流れ星も北斗七星も北極星もはっきりと見えて、首が痛くなるくらい空を見上げておりました。その後、ここご自慢の巨大なベンチで記念撮影。気分は盛り上がったまま、帰りの途に着きました。

 途中でスーパーマーケットに寄らせて頂き、それぞれお買い物タイムとなりました。私はそこで切れた煙草を買ったわけですが・・・その時は何も考えずポイポイかごに入れてしまいましたが、後から値段を思い返して呆然。アメリカでは一箱エ500くらいするんですよね。もっと日本から持ってくるんだった!と思っても後の祭りで・・・。ホテルに戻ると、買い込んだビールと頂いてきた試飲の残りのワインで酒盛り・・・というか、熱い討論会(?)がこの夜からスタートしたのでした。沢山の共通項を持ち合わせているこのメンバー、ワイン事情や仕事の事など話し出すと止まらぬ勢いで、途中でついて行けなくなった私は「お先に失礼します、おやすみなさい」・・・。

9月12日(水)〜 ナパ北上中 〜
 さあ、いよいよ折り返し地点である本日は、実は一番メインの日・・・イコール一番頑張らねばいけない日なのです。何故何故?と思われた方、こちらの12日の予定をご覧ください。見ているだけでクラクラして来ますでしょう?
http://www.fujikonishi.co.jp/wines_of_california/dreaming_tour.html

 ・・・という事で、朝早くホテルを出発したバスには『Pine Ridge Winery(パイン リッジ ワイナリー)』(→ http://www.pineridgewinery.com/ )の方も同乗され、彼のレクチャーを受けながら州道29号線を北上します。ここでよろしければこちらをご覧ください。
http://www.napavintners.com/wineries/wineryfinder.html

 ヨーントヴィルからオークヴィル、ラザフォード、セント ヘレナを通りカリストガへ向かう道すがら、CAL WINE LOVERでなくとも一度は耳にした事のあるワイナリーがびっっしり連なっているのがおわかりですよね。左を見ては「お〜」、右を見ては「わ〜」と、大御所を通り過ぎる度に歓声が上がり、伸び上がって写真にその姿を収める皆様。私ももちろん興奮気味で窓に張り付いておりました・・・ミーハー?いえいえ、もちろん向学のためです。

 道沿いに広がる様々なぶどう畑を見て思ったのは、ワイナリーによってその植え方にもいろいろなスタイルがあるのだという事。デリカート ヴィンヤードで見た様なすっきりと刈られている所もあれば、「伸ばし放題?」という様な所もあり、きっと拘りは様々なのでしょうね。

 1時間以上かけて上り詰め到着したカリストガ、最初の訪問先ではパネル テイスティングと講義が待っています。

9月12日(水)〜 ワイナリーでの講習会・その1 〜
 一行は『Chateau Montelena(シャトー モンテリーナ)』(→ http://www.montelena.com/ )に到着。蔦に覆われた石造りの古城の様な建物は、ラベルで見たそのままです。中国風の庭園がある事でも知られておりますが、ゲストルームへ向かう途中に見えました見えました。この建物にしてこの庭園、色遣いからもちょっとミスマッチな感じが何とも不思議な雰囲気で・・・。

 1882年の創業以来、伝統的なカリフォルニア スタイルを守り続けており、1976年にパリで開かれたブラインド テイスティングではブルゴーニュの銘酒をおしのけ、ここのシャルドネが白ワイングループ第1位に選ばれています。以来、この小さなシャトーはナパ ヴァレーのワイン界を常にリードしてきました。そんな由緒あるこのワイナリーでの講習会、皆いつもよりちょっと緊張した面持ちで奥の部屋へと向かいました。Ch.モンテリーナのワインメーカー、Bo Barrett氏を迎え、まずはナパ ヴァレーにおけるワイン造りの背景から講義は始まりました。

 1830年、ヨーントビルにナパで初めてワイン用のぶどう(ミッション種)が植えられ始まったワイン造りは、1919年に発令された禁酒令により最も大きな影響を与えられます。教会のミサ用のワインのみ許可されていましたが、多くのワイナリーでは濃縮ぶどうを(ワインを造らないような表示を付けておきながら、実はワイン用に)売って生活していました。1960年代にようやく復活、70年代にかけて沢山のワイナリーがナパに誕生しました。が、1980年代後半に差し掛かると‘タイプB’のフィロキセラが発生。それも台木の採用により乗り越えられ、90年代に入りようやく世の脚光を浴びる様になったわけです。

 ナパ ヴァレーが寒流の影響により、サン パブロ湾からの冷たい空気で南の方が涼しいというのは、ご存知の方も多いはず。その事により、南端のカーネロス地区ではピノ ノワール、シャルドネ、メルロ、ピノ グリージョなどの涼しい気候に合った品種が多く造られ、北上するに従いカベルネ ソーヴィニヨンやジンファンデルなど暖かい気候に合った品種が多くなり、同時にカーネロス辺りの品種は少なくなります。

 更に気候だけでなく、南北35km、幅5kmに渡るナパでは、土壌の違いにも注目しなくてはなりません。海岸線に沿って走るマヤカマス山脈に海側を阻まれる様に存在するナパ ヴァレーは、地殻活動により、例えば 山側(痩せた土壌)のハウエル マウンテンと西側(もう少し肥沃)のスプリング マウンテンでは700万年という土壌の違いが見られるのです。

 クローンを選ぶのにも土壌は重要なポイントになります。同じぶどう品種でも違った味や特徴を持ち、それぞれにより収量、糖のレベルなどが変わってくるので、適切なクローンを合った土壌に植える事が大切。もちろん気候も関係し、特にカベルネは夜の気温の落ち込みにより酸が多く出るため注意が必要だそうです。

 さあ、以上の事を踏まえて、次回はパネルテイスティングについてお話し致しましょう。

9月12日(水)〜 ワイナリーでの講習会・その2 〜
 さて、本日は『Chateau Montelena(シャトー モンテリーナ)』でのパネルテイスティングについてご報告致します。前回に引き続き真面目なお話になりますが、遊びに来ているわけではないので悪しからず・・・。ナパ ヴァレーにおけるワイン造りの背景についての講義を受けた後、クローン違い、地区違い、ヴィンテージ違いと3つの観点から飲み比べてゆきます。

(1) クローン違い
・Pine Ridge Winery
  A.1999 Chardonnay, Stags Leep District(Corton Clones)
   歴史的に古いクローン。色はかなり薄めで、石油香を感じる。酸味もあるがややオイリー。
  B.1999 Chardonnay, Carneros(Dijon Clones)
   やや薄い麦わら色だが、Aよりもっとすっきりとしてより酸味を感じる。

・Clos Du Val Wine Co., Ltd.(発酵中のもの)
  A.2001 Chardonnay, Carneros(Wente Clones)
   カリフォルニアではほとんどがこのクローンで収量が多いため、このスタイルが多い。香り
   が甘く、グアバやマンゴーなどトロピカルフルーツを感じる。
  B.2001 Chardonnay, Carneros(Dijon Clones)
   リンゴ酸が高いため、マロラクティック発酵が長く必要な種類。レモンを囓っている様な苦
   味と柑橘系を感じる。

(2) 地区違い
 A.Robert Pecota Winery 1998 Cabernet Sauvignon
  ナパの最北カリストガ地区の最北。昼夜の温度差が大きく、平地で中位の肥沃度、石ころが多
  い。タンニンは柔らかくミルキー。
 B.Sterling Vineyards 1998 Cabernet Sauvignon, Diamond Mountain
  同じくカリストガ地区でも山の上で畑は北向き。午後も日照は少なく、夜も急激に気温が下が
  らない。タンニン、甘み、フルーティーさ、どれもかなりしっかりして濃厚なイメージ。

(3) ヴィンテージ違い
・Chateau Montelena Winery
  A.1991 Cabernet Sauvignon
   ややオレンジがかったガーネット色。香りはスパイシーでインキー。フルーティーさより土
   や枯れ葉のニュアンスで、舌に味がしっくりと馴染む感じ。
  B.1998 Cabernet Sauvignon
   紫がかったルビー色。まだ固い感じはするものの、果実味が前面に出てフレッシュでフルー
   ティー。

・Viader Vineyards & Winery
  A.1991 Viader
   落ち着いたオレンジがかったガーネット色。土の香りで、味わいも雨の降った後の湿った土
   のニュアンスが前面に出ている。暖かいイメージ。
  B.1999 Viader
   明るいルビー色。果実味より複雑味が前面に出ている。

 ・・・以上、上手く伝わりましたでしょうか。何とも拙い表現で申し訳ございませんが、実に実に貴重な体験でした。
 そしてBo Barrett氏は語ります。我々は20年後に飲んで美味しいワインを目指して造っているのだと。パーカーのポイントよりも消費者が大切。パワフルさ重視よりもエレガントで余韻の長いワインを目指す人達も多 くいて、特にBarrett氏より年齢が高い人々はそういった味わいを求めているのです。例えばカベルネひとつ取っても多様性があり、それを広く知らせて行きたいのだとおっしゃっていました。流行の味よりも長く続く味を。その目はまさにしっかりと先を見据えていらっしゃるのでした。

9月12日(水)〜 駆け足テイスティング 〜
 『Chateau Montelena(シャトー モンテリーナ)』を後にして来た道を少し戻り、お次は『Clos Pegase Winery(クロ ペガス ワイナリー)』(→ http://www.clospegase.com/ )を訪れました。その名を伝説の馬「ペガサス」に因んで名付けたこのワイナリーは、「ワインとアートの融合」を目指しており、美しい建物の中にも外の芝生にも彫刻や絵画が点在。オーナー夫人の名を付けた‘Mitsuko's Vineyards’ではこだわりのシャルドネが造られています。

 そして薄暗い洞窟状の部屋に通されると・・・おお、待ちかまえていらっしゃる、総勢30社のワイナリーの方々と80種程のワイン達!!「せっかく私達のためにわざわざいらしてくれているのですから、出来るだけ全部回ってください」と堀賢一氏。与えられた時間は1時間強。こうなったら端から攻めていこう、とスタートしましたが・・・約1時間後、水を飲んでパンを囓り、ぐったりしながらも「あと何分?まだいくつも残ってるよ・・・」とあせる自分がそこにおりました。周りを見ても皆同じ様子で、果たして全部テイスティングした方はいらっしゃるのでしょうか・・・?結局私が回れたのは21社、ワインにして42種でした。

 その中でも印象的だったのが『Peju(ペジュー)』と『Stonegate(ストーンゲイト)』。途中からヴィンテージを書き漏らしていたのでわからないのですが、ペジューではシャルドネ(トロピカルなのに上品さもあり、口の中でぼわっと広がる割には後味がすっきり)、プロヴァンス(カベルネ フラン、カベルネ ソーヴィニヨン、シラー、メルロを使ったローヌスタイルのドライロゼ。日本食や中華が食べたくなる・・・)が、ストーンゲイトではシャルドネ(スモーキーで個性的な味わいが何故か非常に新鮮な印象を受けた)、メルロ(濃厚なのにスムーズでミルキー、チョコレートのニュアンスもあり優しーい印象)が特にお気に入りでした。メモの順番からするとストーンゲイトは何と一番最後に訪れた所。あんなにへばっていたのにこのやる気は何?ともう一度メモを見てみると、その直前のコメントに「サンスペリー デザートワインでひといき」と。そうか、ここで復活したのねと納得し、もっと記憶を手繰り寄せると、「さー、ラストスパートだー!」と気合いが入ったところだったのでした。その割には1社で断念しておりますが・・・。

 心に残る番外編としては、『Merryvale(メリーヴェイル)』でいきなりプロファイルを欲しいと言ったら「まずはこれから」とソーヴィニヨン ブランを注がれ、ようやく最後に飲ませてもらえた事。ケチ!と思いながらも、カラメルとバニラの味わいにとろけておりました・・・。

 何故かやけに使命を果たした気分になり、ふ〜、と大きく息をつきながら、次のワイナリーへと向かいます。もちろん来てくださったワイナリーの皆様に感謝しつつ・・・。

9月12日(水)〜 緑の中のランチタイム 〜
 本日のランチは『Beringer Blass Wine Estates(ベリンジャー ブラス ワイン エステイツ)』(→ http://www.beringerblass.com.au/ )にて、ナパ ヴァレーのワイナリーの方々を交えて頂きました。ベリンジャー ブラス・・・?そう、あのベリンジャーが、ワイン醸造子会社『Mildara Blass(ミルダラ ブラス)』を有するオーストラリアのフォスターズ社(ビール醸造メーカー)に買収されたのは昨年の事。以来この名前に変わったのです。1876年にドイツ人のベリンジャー兄弟により設立されたベリンジャーは、1971年にはネッスル社に買収され(その前まで評判を落としていたのが復活)、1995年にはアメリカの投資家の手に渡り、その後スーヴレイン、シャトー セント ジーン、セント クレメンツ等も買い取って来ました。個人的に思い入れのあるワイナリーなだけに、今後の行方が気になります。

 さて、写真でしか見た事のない三角屋根の「ラインハウス(ベリンジャー兄弟がマインツの実家を模して造ったドイツ風の建物。1階はお土産物売り場らしい)」を感動しながら写真に収め、案内された所は・・・ああ、やはり屋外ランチなのですね・・・。せっかくだからいろいろと見てみたかったのですが、本当にランチだけとは。と思いつつ、会場である小さな林を囲む柵の扉に「VIP」の文字を発見。ここのみならず、どこへ行ってもVIP待遇の私達。改めてワイン インスティテュートの力を認識させられると共に、得意気な気持ちとややプレッシャーが頭をよぎるのでした。

 ミルダラ ブラスの持つブランドのひとつ、‘グレッグ ノーマン’のスパークリングの入ったグラスを受け取りテーブルへ。お食事と一緒に供されたワインは、ベリンジャーの新しいブランド‘ストーン セラーズ’のシャルドネと、おなじみファウンダーズのメルロ。いずれも心地よくお料理とも青空ともマッチし、素直に美味しく頂けました。お料理は相変わらずボリュームたっぷりでしたが(ちなみにメインはラムのTボーンがドーンと・・・)。あいにく今メルロはありませんが、当店にもこのラインナップで取り揃えてございますので、よろしければどうぞ(在庫がないものに関しても、ものによっては熱いご要望により入手出来るかも??)。
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi (ワイン名:ベリンジャー)

 やや緊張しつつもなごやかに進んだランチタイムも終わりに近付き、せっかくなので敷地内を散策(というかRest Roomを求めて・・・)。ここへ来た時には気付かなかったのですが、何と観光客の多い事!それもそのはず、ここはカリフォルニアでも5つの指に入るワイナリー、しかもラインハウスは国の歴史的建造物に指定されており、敷地内は緑が多く、良くも悪くもすっかり観光地化している様で・・・。さすがに見渡す限り緑がきれいなお庭でした。お土産を覗く暇がないのが残念でしたが、そう、私達にはまた次のワイナリー訪問が待っているのです。

9月12日(水)〜 しまうまワイン 〜
 またもやバスに揺られ、細い山道を登る登る・・・。途中でバスを降ろされ、更に徒歩で登る事5分程。実のところ、ワイナリーを見学しているか、食べるか飲むか、バスに乗っているかという毎日のため、ここで久し振りに歩いたという気がしたのは私だけではないはず・・・。坂道にちょっと息を切らしながらも木漏れ日が心地よく、登った先に現れたのは『Harrison Vineyards(ハリソン ヴィンヤーズ)』(→ http://www.harrisonvineyards.com/ )。ひっそりと静まり返り、「これがあの人気ワインを生む・・・?」と思うほど、これまで見てきたワイナリーの中でも一番簡素な佇まいを見せていました。基本的に一般公開していないらしく、ここだけ時間の流れが違う様な空気を感じます。そしてオーナーのLyndsey Harrisonさんが笑顔でお出迎え。陽に焼けて健康的な長い足がすっと伸びた短パン姿も凛々しく、若々しくてとても素敵な女性です。

 Lyndseyさんと今は亡き旦那様のMichael Harrison氏が、ナパ ヴァレーのプリチャード ヒルからイースタン ヒルに12エーカーを購入し、このワイナリーを設立したのが1987年。この場所に来た時にゼブラ模様のジープを見つけ、それがきっかけで今のラベルのモチーフとなった・・・とおっしゃっていた様な気がするのですが(間違っていたらごめんなさい)。2年後の1989年に最初のワインとなるカベルネが出来上がり、続いてシャルドネが生産されました。今ではその他にメルロと、‘ゼブラ ジン’でお馴染みのジンファンデルを造っています。

 まずは畑(カベルネ ソーヴィニヨン)を見せて頂くと、何とも急斜面。ここでじっくりと太陽に照らされて、あの大人気のぎゅっと凝縮したワインが出来るのだなぁ、と何だか納得させられます。さすが「山カベ(山岳地帯で造られるカベルネ)」、ぶどうの粒もかなり小さく、噛み締めるとその濃厚さを感じる事が出来ます。お話によると、この辺りには野生のターキー君達が大群で押し寄せるのだそう。想像しただけでも怖いですが・・・。

 その後、発酵途中の赤ワイン達をテイスティング。一度タンクの上に上がり、フタを開けてガス抜きと同時にその中を覗かせてもらったのですが、「あまり急に吸い込まないで」とのLyndseyさんの言葉にそっと覗き込むと、ぼわっとむせそうなくらいの発酵臭(お豆腐の匂いが強烈になった感じ?)が鼻を襲って来ました。これでタンクの下から伸びたホースを上から入れてワインを通し、撹拌させます。ちなみに屋外にある赤ワイン用のタンクは何と4本のみ(カベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、ジンファンデル、シラー?)。こんな貴重なものを私達がちょっとでも飲んでいいの?と恐れ多く感じながらも口に含むと、ぶどうを味わった時同様に濃厚で、「詰まってる!」という印象を受けました。更にあのしまうまワイン、98年のカベルネ ソーヴィニヨンと2000年のジンファンデル(それまでのグラフィックで派手なラベルから親子のしまうまラベルに一新)をテイスティング。その溢れ出そうなくらい凝縮された果実味には、まさに太陽の恵みを感じました。当店でもこの希少なワインを3アイテム扱っておりましたが
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi (ワイン名:ハリソン)
残念ながら現在は欠品中。でもご要望があればすぐに調達致します(ヴィンテージは変わりますが)ので、是非味わってみてください!!

 そんな私達の脇には番犬のMax君が鎮座・・・。この後カーヴの中に案内されシャルドネも試飲したのですが、Lyndseyさんの後を大人しく付き添ってゆく後ろ姿はパートナーの雰囲気さえ醸し出しています。後で黙って畑に入ったメンバーに吠えまくるという場面も見られ、しっかりとその役目を果たしておりました。

 余談ですが、最後にRest Roomを借りにオフィスへお邪魔すると、何とそこにはしまうまグッズがあちこちに。ソファーにどっしり座っているゴリラのぬいぐるみにもゼブラ柄の服が着せられていたのは、愛嬌たっぷりで笑えました。

 ちなみに、ここのホームページ内で面白いコンテンツを発見!収穫からタンクに詰められるまでの様子がよくわかりますよ。Max君も登場しています。
http://www.harrisonvineyards.com/slideshow.html

9月12日(水)〜 Dreamin' Party 〜
 『Harrison Vineyards(ハリソン ヴィンヤーズ)』を後にして、ディナーへの準備のために一旦ホテルへ戻る道すがら、「ツアー最大のハイライトです。持っていらした中で一番良い服を着てきてください」と念を押す、我らが隊長 堀賢一氏・・・。ワイナリーの方々との正式なディナーはこの日を挟んで3日間続きましたが、そう、今宵の『Napa Vista(Charles Krug(チャールズ クリュッグ))』(→ http://www.charleskrug.com/ )でのディナーパーティーが、今回のこのツアーでの最大の見せ場(?)なのです。

 陽も暮れ始め寒くなってきた頃ワイナリーに到着し、案内された場所はまたお庭(本当に皆さんガーデン好きです)。ここでディナーの前にこんなに驚きの高級ワインを試飲する事になろうとは、この時はまだ気付いておりませんでした。お出迎えの挨拶をしてくださったのは、チャールズ クリュッグの現オーナー、Peter Mondavi Jr.氏。元々このワイナリーの歴史は古く、ドイツ人チャールズ クリュッグが1961年(ナパでは最古)に創立し、1943年にチェザレ モンダヴィが購入。その息子がロバートとピーターの兄弟ですが、兄貴ロバートは1966年にご存知ロバート モンダヴィを創立し、残って後を継いだ弟ピーター モンダヴィの息子さん(Jr.)が3代目として引き継いでいます。‘Napa Vista(ナパ ヴィスタ)’は、ナパ ヴァレー最古のワイナリーでありながら最先端を歩み続けるピーター モンダヴィ ファミリーが選りすぐって造り上げたワインなのです。

 そしてここへ素晴らしいワインを持ち寄って来てくださったのは、ナパでも名だたるワイナリーの方々。おずおずと歩み寄る私達を待っていたのは・・・。

 ・Viader '97
 ・Stag's Leap Fay '94
 ・Stag's Leap S.L.V. '94
 ・Sequoia Grove Cabernet Sauvignon '87(!)
 ・Peju Cabernet Sauvignon '95
 ・Peju Cabernet Sauvignon Reserve '95
 ・Beringer Cabernet Sauvignon '97
 ・Beringer Chardnnay Reserve '97
 ・Beringer Chardnnay Sbragia Limited '99
 ・Joseph Phelps Insignia '89
 ・Joseph Phelps Cabernet Sauvignon '90
 ・Clos Du Val Cabernet Sauvignon '92
 ・Signorello Cabernet Sauvignon '97
 ・Heitz Cabernet Sauvignon Martha's Vineyard '91
 ・Duckhorn Merlot Howell Mountain '89
 ・Napa Vista Cabernet Sauvignon '98
 ・Napa Vista Merlot '98
 ・Napa Vista Zinfandel '98
 ・Charles Krug Chardnnay '99
 ・Charles Krug Pinot Noir '98

 ・・・どうですこのメンツ、すごいでしょう?いくら試飲だからって吐き出すなんてもったいない!!もう最後の方は普通にワインを楽しんでしまいました(ごめんなさい・・・)。特にセコイア グローヴの87年。これはずるいでしょう、というくらい美味しくてうっとりしながら、スミマセン、おかわりしてしまいました(2回ほど)。そういえば昼間堀氏が「皆さん良い子にしてたら夜お寿司をご馳走しますよ」とおっしゃっていたっけ・・・と思っていると、出ました、試飲のお供に紙皿に乗せられたお寿司が!始め冗談だと思っていただけに、これには嬉しい驚きでした。

 さて、その後は中の会場へ入り、いよいよディナーパーティーの始まりです。Oh!何と既に席が決められているではありませんか。ドキドキしながら着席すると、左は堀賢一氏、右はNVVA(Napa Valley Vintners Association)のKimさん。Beringer Sauvignon Blancで乾杯、次第に盛り上がる中、うぅぅ・・・英語力のなさと小心さが災いしてほとんど喋れぬままディナーは進んで行き・・・ようやく最後の方でKimさんに、カリフォルニアに初めて来た事、見るもの体験する事の何もかもがいちいち初めてで感動した事を、身振り手振りを加えながら話し(果たして通じていたのか怪しいところですが)、また絶対ここに来ますと指切り(ってアメリカにもあったのだろうか、でも勝手に)しました。大きな目がクルクルと動いてとてもキュートなKimさん、来年4月にNVVAがイベントで日本に来るのですが、「Aprilにまた会いましょうね」と固く握手してくださいました。あーもっと始めから頑張ってお話ししておけば良かったと、実はこのツアーで唯一後悔している部分なのです・・・。

 それでも最後には気分も盛り上がって全員で記念撮影。記念すべき夜もそろそろ終わり、それぞれワイナリーの方々にお別れをして、皆名残惜しそうにバスに乗り込み帰途に着きました。

 ・・・と、せっかくですので、今宵のメニューとディナーで頂いた未発売のワインをご紹介しましょ。

 前菜  :ナパ・ヴァレー産メロンとサンダニエル・プロシュートハム
  ・Napa Vista Sauvignon Blanc '00
 メイン :とれたてのアワビ リゾット・ヴェルディ 朝市からの新鮮な野菜
  ・Napa Vista Pinot Noir '00
 デザート:チョコレート・エスプレッソ・トルテ エスプレッソ

9月13日(木)〜 ソノマの苗木屋さん 〜
 ツアーも後半に入った5日目朝8時、2泊したナパにもいよいよ別れを告げ、バスはカーネロスを通りソノマへと南下します。本日最初の訪問先は、ワイナリーではなく苗木屋さん『Nova Vine(ノヴァ ヴァイン)』(→ http://www.novavine.com/ )。害虫フィロキセラからぶどうを守る為に接ぎ木(フィロキセラに耐性のある台木と各ぶどう品種のクローンを繋げる事)は欠かせない作業となっておりますが、そんな中、ここNova Vineは、イタリアで最も大規模な苗木の養樹所『VCR(Vivai Cooperativi Rauscedo)』とのパートナーシップにより5年前に設立された若い苗木屋です。

 ここではぶどうの苗木の他にオリーブも扱っており、本日のスケジュールは何とまずオリーブオイルの試飲から始まりました。実は初めての体験でしたが、種類による色・香り・味わいの違いを見分けるのはワインと全く同じなんですよね。オリーブオイルの特性や選択時に注意すべき点など教わりつつ、ハウス(湿度85%!)内を見学し外へ出ると、さっきまで霧に覆われて真っ白だった空が10時の時点で真っ青に。これは何度体験しても新鮮に感じました。

 そして次はぶどうの接ぎ木について、各工程に沿って学びます。

 まず土壌によって台木のタイプを選び(地面に穴を6フィート掘って土壌を調査。台木の種類は13〜14種扱っています)、次にクローンを決定。12月〜1月、台木の長さを測って切り揃え、余計な芽が伸びない様に芽の部分はきれいに切り取ります。それを束にしておが屑の入った箱に埋め、湿度90%、温度30℃のハウスで育成。この後いよいよ接ぎ木の作業に入ります。スタッフの方が機械を使って接ぎ木を行うところを見せてくださいました(シャッターチャンスも逃すくらい一瞬でカット・接合が終了)。機械やカット方法もいろいろあるけれど、ここで実践しているのはオメガカットと言って、接合部分がお互いΩ型になるもの。これが一番良いらしい。一日に5,000本造られます。継ぎ目の部分を病気などが入らない様にワックス(蝋)で封じ(ここまで1ヶ月で200万本!)、棚状の箱におが屑と共にクローンの方を手前にして積んでゆきます。天辺まで来たらそのまま箱を仰向けに倒せば、クローンの先を上に向けて植えられた箱の出来上がり。これを陽に当てた後、1本ずつ土に還るポットに植え替え根を出させ、更にもう少し大きいポットに土を入れて植え替え育てます。そしてある程度葉が出たところで畑デビュー。幼木の頃一番大切なのは根に水が行く事なので、灌漑用に渡したチューブの途中途中に更に細いチューブを付け、直接地面(根本)に水を落とします。

 ・・・という、文字だけで果たして伝わりますでしょうか。マーケティング・セールス担当のDennisさんが、パネルや実際の各工程途中の状態、シミュレーションなどを見せながら丁寧に説明してくださったので、「なるほど」ととても良くわかり、貴重な体験でした(これを全て文字で表すのは難しい・・・)。ちなみにここではワイナリー向けには全てオーダーメイドで請け負っているため、この工程の様々な部分の状態で出荷されています。

 最後に、ここで造られた2000年のカベルネ フランと1998年のカルメネール(ぶどうそのものの味を確認するためわざとステンレスタンクに寝かされたもの)を試飲し、ぶどうの糖度を測る体験をして、スケジュールは終了。陽も高く昇り始めた頃、次の訪問先へと出発しました。

9月13日(木)〜 大規模なスパークリング ワイナリー 〜
 世界最大と言われるスペインのスパークリングワイン メーカー、フレシネ社。真っ黒なボトルで皆様にはお馴染みかと思います。この日のお昼に訪れた『Gloria Ferrer(グロリア フェラー)』(→ http://www.gloriaferrer.com/ )は、そのフレシネ社の会長、ホセ フェラーにより1982年6月、ソノマの北端(ナパ ヴァレーにまたがる)に設立されたワイナリーで、その名はフェラー会長の夫人の名前に 因んで命名されています。135haの自社畑をカーネロスに所有し、ピノ ノワールとシャルドネ、そして少量のメルロとシラーを栽培。ほとんどがスパークリングワインになりますが、1991年から僅かな量ですがスティルワイン(ピノ ノワール、シャルドネ)も造られる様になり、2年前から専用のカーヴも作り始めました。今年は1ヶ月前(8月)に収穫が始まり、訪れた時はちょうどスティルワインの収穫期でした。

 ブラン ド ノワールのグラスを手に、Eva Bertranさんの説明を聞きながらワイナリーツアーのスタート。見事な庭園と美しい建物、立派な地下セラーに、思わずため息がこぼれます。樽貯蔵庫、瓶貯蔵庫(第二次発酵の部屋と瓶内熟成の部屋)、ルミアージュ(動瓶。ボトルを傾けて逆さにし、毎日8分の1ずつ左右に回転させながら、第二次発酵で発生した澱をボトルの口の部分に集める事)の部屋と順を追って見学しましたが、瓶内熟成の部屋のすごかった事!天井まである棚にびっっしりとボトルが積まれており、「触るとボトルが飛び出して来るので注意してください」というEvaさんの言葉にひやひやしつつ見て回りました。

 一通り巡った後は、ダイニングにてソノマのワイナリーの方々を交えてのランチタイムです。『Hanna Winery(ハンナ ワイナリー。本当は「ハナ」が正しいそうなのですが)』、『Landmark Vineyards(ランドマーク ヴィンヤーズ)』、『Schug Winery(シュグ ワイナリー)』の方が来てくださいました。テーブルを見ると、何とまたお寿司が登場(カリフォルニア巻入り)。それまではランチもディナーも必ず前菜・メイン・デザートと出てきたので、今回もてっきり前菜にお寿司?!と思っていたら、珍しく最後までお寿司のみでした。ボリュームたっぷりの食事に少々お疲れ気味の胃腸には、とても嬉しゅうございました・・・。しかもスパークリングにはぴったり。ブラン ド ノワールのピチピチとした果実の香りとやんわりとした口当たりに、ついついお箸も進みます(笑)。昨夜もそうだったのですが、ワサビが別添えなんです。ここで判明したのですが、こちらでは(と言っても一部だけの様な気がしますが)ワサビを付けずに直接つまみながらお寿司を食べるのだとか。これには驚きでした!

 以下、ブラン ド ノワール以外にここで出して頂いたワインと、他のワイナリーの皆様が持ってきてくださったワインをご紹介致します。

 ●Gloria Ferrer
 ・1993 Royal Cuvee(ここで最高級のスパークリング!)
 ・1999 Carneros Chardonnay

 ●Hanna
 ・2000 Sauvignon Blanc
 ・2000 Chardonnay
 ・1997 Bismark Ranch Cabernet Sauvignon

 ●Landmark
 ・Grand Detour Pinot Noir

 ●Schug
 ・1999 Carneros Chardonnay Heritage Reserve
 ・1999 Carneros Pinot Noir Heritage Reserve

 どれも美味しくって、ついついおしゃべりも弾みます・・・と、実はすごい方がお隣に座っていらっしゃいました!シュグのオーナーであるWalter Schug氏。かつてジョセフ フェルプスにワインメーカーとして在籍しており、あのインシグニアを初めて造ったという偉大なお方なのです。ドイツはライン川の故郷で唯一のピノ ノワール生産者という家(古くは靴屋さんの家系らしい)で生まれ育った彼は、カリフォルニアでピノ ノワール造りを成功させたいという固い決意のもと母国を離れながらも、ジョセフ フェルプスではピノ ノワール以外の品種で名が売れてゆきました。しかしやっぱりピノ ノワールへの情熱は絶える事なく深まるばかりで、1983年、ようやく夢のワイナリー“SCHUG”を創立したのです。以来ヨーロッパのワイン評論家達からもワールドクラスのワインとして高い評価を得ているシュグのピノ ノワールは、イチゴの様な果実味と酸味とのバランスが実に良く、口当たり滑らかで優しい感じが私も大好きな一本。この日頂いたのはヘリテージで、イチゴというより黒い果実系とスパイスの風味が溢れ出る様な、それでも口当たりはあくまで滑らかという素晴らしいワインでした。同じくシャルドネも、濃厚でとろけそうな味わいなのに微かなスパイシーさが締めてくれてうっとりです。ヘリテージではないですが、ピノ ノワールは当店でも扱っておりますので、よろしければどうぞ!
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=442

お話を聞いていると、本当にピノがお好きなんだなーとしみじみ思いました。「うちの店にも置いてるんですよ」と言ったら(言えてたと思う)とても喜んでくださったWalter氏。お箸使いもお上手で、褒めたら得意気に見せてくれました(笑)。その気さくで明るいお人柄に、益々シュグのファンになってしまいました。品種の特色、土地の特色を出してゆきたいとの事。これからも美味しいピノを造り続けてください。

9月13日(木)〜 ソノマの夕べ 〜
 ランチを頂いた後、本日は15時頃早々にソノマのホテルにチェックインしました。ディナーを兼ねた次の訪問先への出発までまだ時間があるので、皆さんはホテルのプールとジャグジーでリラックスタイム。私は今回のツアーで(優秀店として招待された)唯一のもう一人の女の子、関西組の坂東志保ちゃん(from『Chez Mon』)と部屋でおしゃべりをして過ごしました。彼女とは帰国してからもわざわざ東京に遊びに来てくれる程仲良くなって、「もう一人の女の子がこの子で良かった〜」と、ツアー中本当に心の支え(あ、褒めすぎ)でありました。もちろん他のメンバーも皆様良い方達ばかりで、素晴らしい仲間にめぐり逢えて良かったと心から思います。この繋がりは、今回のツアーで得た一番の財産かもしれません。

 さて、支度を整えて向かった先は『Kendall-Jackson Vineyards & Winery(ケンダル ジャクソン ヴィンヤーズ & ワイナリー)』(→ http://www.kj.com/ )。1982年に元弁護士であるジェス ジャクソン氏が設立(現オーナーでもある)、今ではカリフォルニアにおける最良の家族経営のワイナリーの一つと言われています。設立前からぶどうの研究を重ねてきたジェス ジャクソン氏は、単一畑からワインを造るという手法を捨てました。「ぶどう、ワイン醸造学、ブレンドの全てにおいて最高でなければ、傑出したワインを一貫して生産できない」という設立当初からのモットーのもと、ナパやソノマを初め、南はセントラルコーストに至る広い範囲から畑毎に醸造し、それぞれの品種にとって最良と思われる割合でブレンドすることによって、それらの個性が融合され品質の安定した「最良のワイン」を造り出しているのです。皆様もどうぞその味わいをお試しください。
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=330
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=331
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi?mode=detail&id=601

 ここのご自慢は、250haに渡るオーガニックの菜園。オーナーご夫妻の案内で、まずはその菜園を見せて頂きました。ここには赤ワインのガーデンと白ワインのガーデンがあり、更にぶどう品種毎に分かれていてその品種の味や香りをイメージする植物が植えられています。例えばシラーならブラックトマト、ローズマリー、バジル。カベルネ ソーヴィニヨンならミント、レーズン、ディル。シャルドネならタラゴン(他失念・・・)という様に、ワインを飲みながら実際に葉や実の匂いを嗅いだり味わったりして、その品種の特徴をつかめる様になっているのです。試してみると「お〜なるほど〜」と納得し、生の‘香り(味)見本’はとても勉強になりました。その奥には国別のガーデンもあり、‘Asian Garden’にオクラ(それも何故かとても大きい)を見つけた時には「アジアを代表するくらいの野菜だったんだ」と不思議な感覚でした。他にも色々な種類のトマト(近く品評会があるとおっしゃっていた。→ http://www.kj.com/events/tomato/index.html#top )もいで食べさせて頂いたけど、その美味しい事!)やトウモロコシ、ひまわり、コスモスなど、挙げたらキリがない程ありとあらゆる植物が実に伸び伸びと育っているのでした。

 その後、屋外(ここもか!)に設置された広ーいテントの試飲会場で、ディナータイムまでソノマのワイン(昨日のお昼にも頂いた『Hana Winery』、『Clos du Bois』、『Murphy-Goode Estate Winery』、『J.Pedroncelli Winery』など5社程)をテイスティングして廻りました。最後のテーブルに立ち寄ったところ、突然「イマエダサーン」と呼ばれてびっくり。見ると栗色の髪の女性・・・誰?とどぎまぎしていると、偶然私の知っている方がこちらに来ていて、例の事件で足止めをくらったので彼女(卸業者のCEO、アンドレアさん)の家にお世話になっているとの事。私が訪れるのを知っていたので名前を教えていたそうで、ネームプレートを見て声を掛けてくれたのでした。「良かったら彼女に手紙を」と言われて走り書きを託し、少し話しているとディナータイムが始まるとのお声が掛かりました。もうとっぷり日も暮れています。

 室内に入ると、高い天井にきらめくシャンデリア、丸テーブルにはお花(もちろんここで摘まれた)が飾られ、これまでのディナーの中で一番雰囲気が華やかだった気がします。今日のランチと言い、昨日のディナーでの私が嘘の様に、すっかりワインとお食事(もちろん野菜関係はここで造られた物です)と会話を楽しんでいました。皆も同様にかなりリラックスして打ち解け、笑い声絶えぬままディナーは終了しました。

 さあ、盛り上がった気分をそのままにして、ホテルへ戻った後に近くのBarに繰り出す御一行。更に盛り上がったのは言うまでもないでしょう。少し羽目を外した(?)事も良い思い出です・・・よね?

9月14日(金)〜 天国のワイナリー 〜
 とうとうワイナリー訪問も最終日となりました(翌日はサンフランシスコで自由行動ですから)。とは言え、いつもと何ら変わりない朝を迎え(違う事と言えば、昨夜はベッドに上がるのが精一杯で、テレビを点けたままダウンしていたらしい事でしょうか・・・)朝食を済ませ、相変わらず電話料金の精算に肩を落としつつチェックアウト。いつもより少し遅めの8時半出発で、『Paradise Ridge Winery(パラダイス リッジ ワイナリー)』(→ http://www.paradiseridgewinery.com/ )へと向かいました。

 さて皆様、「長沢 鼎(ナガサワ カナエ)」という人物をご存知でしょうか。「アメリカ合衆国における初の日本人ワインメーカー」・・・と一言で言ってしまえば簡単ですが、時代に翻弄され続けた彼の生き様は想像を絶します。薩摩の武士の家に生まれ、小さい頃から優秀だった彼が薩摩藩の命を受けイギリスへ留学したのは、わずか13歳の時、1865年。2年後、倒幕を予期した薩摩藩が軍備へ支出を増やしたために、送金が減らされ経済難にさらされます。そんな時に出会ったのが、後に彼をワイン造りの道へと導く事となる、教団の主宰者 トーマス レイク ハリス。その教団と共に大西洋を渡り、1875年にここサンタ ロサに土地を買い、‘ファウンテングローヴ’農園が広げられていきました。それからぶどうを植え付け、ワイナリーが完成したのが1882年、彼が30歳の時です。更に10年後、ハリスに農園とワイナリーの運営とを任された彼のリーダーシップのもと、ファウンテングローブはカリフォルニアの10大ワイナリーのひとつに数えられる程成長したのです。

 その後、フィロキセラ(ぶどう根に付く害虫)の発生、禁酒法と、カリフォルニア ワインの歴史を語るのに欠かせない打撃を経験し、それでもワイナリーは成長し続けましたが、反外国人法(外国人が新たに土地を所有してはならない)により、生涯独り身だった彼は、相続人として選んだ甥にワイナリーを譲る事が出来なくなりました。そして1934年、82年の生涯を閉じた長沢 鼎。その所有地は土地開発者達に売られて行き、今では廃墟となったワイナリーとラウンド バーン(円形の馬小屋)を残すのみとなってしまいました。

 かつてファウンテングローヴ ワイナリーが建っていた場所に隣接するパラダイス リッジ ワイナリー。その所有者であるビック家の長、ウォルター&マリジク ビック夫妻は、長沢 鼎に敬意を表し、彼とそのワイナリーに縁のある品々を展示する他、彼の名を付けた畑(シャルドネ)‘NAGASAWA VINEYARD’を造りました。彼の事を熱く語るマリジクさんのお話、展示されている、同じ場所の当時と今の写真の変わり様や彼の残した品々に、何だかせつない気持ちになりました。世が世なら、彼の造って来たワインが今でも引き継がれていたに違いないのに、もうその姿を見る事はありません。一体どんなワインを造っていたのでしょうか・・・。

 そして、NAGASAWA VINEYARDを含む絶景を見下ろすここは、「The Most Beautiful View in Sonoma County」と謳われている通り、まさに天国。彼もきっと空の上の天国から見守っている事でしょう。

 そんな名前通りのパラダイス リッジ、ここの醸造所はまだ新しく、設備は小さなタンクと樽がいくつかと、オープン発酵槽が10個ぐらい並んでいるだけの、かなり小規模なものでした(発酵の匂いがムンムン!)。堀賢一氏は早速発酵槽に櫂を突っ込み、撹拌作業(浮いてきた果皮をもう一度沈めて皮の渋みを出させる)を見せてくださいました。木樽の栓には透明のケースが挿してあり、発酵の状態を確かめられる様、ガスが吹き上がるのが見える仕掛けになっています(コーヒーサイフォンがブクブク言っている場面を想像して頂ければ大体合ってます)。

 その後外へ出て、敷地内のガーデンを見学。そこは屋外ギャラリーになっていて、至る所に巨大な彫刻が周りの自然に溶け込む様に建っていました。話によると、アーティスト達に作品を展示する場所を提供しているとの事で、私達が訪れた時にはブルース ジョンソンという彫刻家の不思議な遊べる(?)作品の数々が展示されていました。

 戻ってからブラン ド ブランとNAGASAWA VINEYARDのシャルドネを頂いたのですが・・・テイスティングメモを残しておらず、一体どんな味だったのか思い出せません・・・。頼りになりませんね、本当にごめんなさい。長沢鼎の話と壮観な眺めとでお腹いっぱいになっていたのかもしれません。

 という事で、次回こそ次のワイナリーへ。ラスト2です!

9月14日(金)〜 ガーデン ランチ 〜
 もうすぐお昼という時間、本日2件目に訪れたのは『Dry Creek Vineyard(ドライ クリーク ヴィンヤード)』 ( → http://www.drycreekvineyard.com )。ここはアメリカにおける禁酒法撤廃後、ソノマのドライ クリーク ヴァレーの中では一番始めに作られたワイナリーです。現オーナーのDavid S.Stare氏が1972年に創業しました。婿養子であるDon Wallece氏がゼネラル マネージャーを務め、小さな家族経営ながら実に多くの種類の良質なワインを生み出しています。ドライ クリーク ヴィンヤードと言えば、ヨットのラベルで有名ですよね。この家は代々ヨットを楽しむ家系で、Stare氏もWallece氏ももちろんヨットが大好き。このラベルは「アメリカの誇り高き海事の伝統」を表現しているそうで、特にリザーヴ用には伝統的なアメリカ杯のヨットをモチーフとしています。

 訪れるとまず、青々と茂る芝生のお庭、本日のランチ会場へ案内されました。あまりにも日差しが眩しく、日除けに立ててあるパラソル同志の隙間からも容赦なく目を攻めてきます。ボリュームたっぷりのクロワッサンサンド(薄切りのターキーがこれでもか!というくらい幾重にも重ねられて入っている。笑)とサラダ、ケーキがペーパーボックスに入っていて、ちょっとピクニック気分。Wallece氏のワイナリーについての解説を聞きながら、のどかなランチタイムは始まりました。テイスティングしたワインは全部で7アイテム。

 ・Fume Blanc '00
 ・Dry Chenin Blanc '00
 ・Chardonnay '99
 ・Heritage Clone Zinfandel '99
 ・Old Vines Zinfandel '99
 ・Late Harvest Zinfandel '99
 ・Late Harvest Sauvignon Blanc '99

 Chenin Blancのゴクゴク飲めてしまいそうな軽やかな味わいと、対するOld Vines Zinfandelの口中に広がる果実の甘さが印象的でした。Heritage Clone Zinfandelは、Old Vinesの方に使われている古木から世代交代を図るために造られているのだそうです。これからどの様なワインに育ってゆくのでしょう・・・。そして、ここでも久々に登場、Late Harvest!やはり十分に癒される味わいでした。特にZinfandelが大変気に入ったのですが、数が非常に少ないので売ってもらえないとの事(しかも高!)。じゃあせめてSauvignon Blancの方を、と申し出たのですが、諸事情によりその場で買う事は出来ませんでした。残念!!

 その後テイスティングルームにてリザーヴ物(Merlot '97、Cabernet Sauvignon '98)とMeritage '98を頂きました。さすがリザーヴはよりパワフルさを感じ、Meritageは可愛らしいイメージでした。

 いつもは慌ただしくバスの出発時間が来てしまうのに、ここではゆっくりとお土産を見られる時間も。目移りする気分を抑えて少しだけお土産を買い、Late Harvestに後ろ髪を引かれつつ(涙)、とうとうツアー最後の訪問先、数あるソノマのワイナリー群の中でも最大級の規模を誇る、あのワイナリーへ向けて出発です。

9月14日(金)〜 巨大なワイナリー 〜
 とうとうこのツアー最後のカリキュラムとなりました。みんなの複雑な思いを乗せ、太陽がさんさんと降り注ぐ昼下がり、バスはあの巨大ワイナリー『Gallo of Sonoma(ガロ オブ ソノマ)』(→ http://www.gallosonoma.com/ )に到着しました。

 アーネストとジュリオのガロ兄弟が、ワイン造りに理想的な土地を求めて辿り着いたのが、ここソノマ。昼間の暖かさがぶどうの成熟を助け糖度を上げ、夜の寒さはぶどうに休息時間を与え酸度を上げる。このユニークな条件に気付き、1933年にワイナリーを創設します。あれから約70年、現在ジュリオの孫娘ジーナと孫息子マットがワインメーカーとして活躍し、3世代に渡る「ぶどうに忠実に」という哲学のもと、ソノマではもちろん、今では世界最大のワイナリーに成長したと言っても過言ではないでしょう。現在ソノマに8つの畑をっておりますが、この日訪れたフライ ランチ ヴィンヤードのワイナリーは、8年前に建てられたばかりのまだ新しいワイナリー。最新設備を誇り、ガロ オブ ソノマにおける現在の本拠地となっています。

 ・・・と、そのような解説をゲストルームで聴いていたのですが、これが長くて長くて、しかもずっと立ったまま。ツアー中驚く程体調の良かった私(むしろ渡米前より)が、ここへ来て貧血に見舞われどうにも立っていられなくなったので、脇にあるテーブルの椅子に座らせて頂く事に。学校で朝礼の時必ず一人こういう子がいましたでしょ(笑)。すると、それまで場を支配していた重たい緊張感が急に崩れ(た気がしたのは私だけでしょうか)、ミネラルウォーターが配られ、同じ様に立っているのが辛くなったメンバー数名が椅子に座り始めました。

 解説が終わり、今度はバスで畑巡りです。700エーカーに渡るフライ ランチ ヴィンヤードは、どこまで行っても見渡す限りのぶどう畑!あらゆる斜面を使って植えられているのがよくわかります。途中、水深30m、広さ12エーカーの‘レイク アイリーン’が出現。フライ ランチの畑の灌漑用水として使われる池で、水道水は使いません。冬の3ヶ月間は雨が多く降る為水が集まっていっぱいになり、夏にはその貯えられた水を使うのだそうです。

 途中バスを降り、3年物と5年物のカベルネ ソーヴィニヨンの実を味見。5年物の方が口に入れた瞬間に甘味が広がりました。そういえばこの時にはもうすっかり元気になり、しっかりぶどうを食べまくっておりました・・・(笑)。

 その後ワイナリーに戻り、最新設備を見学。もうとにかく規模の大きい事!外に設置されたタンク群には沢山の管が張り巡らされ、思わず「何の工場?」と思ってしまう程。見ている間にも、収穫されたぶどうの入った大きなコンテナを11個も乗せたトレーラーが到着するは、脇ではぶどう達がベルトコンベアーで移動しているは、これまで見てきたワイナリーとはあまりに規模の違う風景に、かなり驚きました。お次は地下に掘られたカーヴへと移動。中へ入るとこれまた巨大で、何と6万もの樽が眠っているそうです。その沢山の樽達に囲まれながら、樽詰め作業が行われていました。

 更にゲストルームへ戻り、最後にいよいよテイスティングです。出て参りましたのは97年ノーザン ソノマ エステートのカベルネ ソーヴィニヨンとシャルドネ。1993年より造られ始めたガロ最高峰のワインで、ソノマの8つの畑から選りすぐった最高級のぶどうが使用されています。その味わいには思わずため息が出てしまう程で、パワフルというより、全ての要素が上手く溶け込んでいて、こっくりとした深さを感じました。シャルドネも同様、リッチ・エレガント。当店でも95年のカベルネを置いてございますので、「ワイン名:ガロ」で探してみてください。一番てっぺんに出てくるはずですよ。
http://california.fujikonishi.co.jp/cgi-bin/userpage.cgi

 ・・・さて。これにて無事全カリキュラム終了です。という事は、レポートもこれにて終了!!・・・って、あれ?何かお忘れでない?・・・と、カリフォルニアはベイエリア方面から声が聞こえてくる気がしますので、次回は番外編として“サンフランシスコの巻”をお送り致します。どうぞもう少々お付き合いくださいね。

9月14日(金)〜 一路サンフランシスコへ 〜
 真っ白な霧のカーテンの掛かるベイブリッジを越えると、そこはサンフランシスコ!街なかを走るバスからの眺めは、それまでの山と畑ばかりの風景とは全く違った、久し振りに見る“都会”の風景でした。密かに受 けたのは、日本食レストランの看板の文字。いかにもという様な店名に、洋画に出てくる変に誇張された日本を見ている様で笑えました。その晩は皆で中華街に繰り出し、ビールや紹興酒と共に中華料理に舌鼓を打ちました。

 ところで余談ですが、これまでのホテルと違い、サンフランシスコで泊まったホテルはとってもデザインちっくでお洒落。各部屋の造りや置いてある家具が全く違うんです。そして私の泊まった部屋はと言うと・・・始めは壁に収納された簡易ベッドにがっかり、しかし奥の扉を開けるとそこには別にベッドルームが!聞けば他の部屋は皆1部屋らしく、通りかかるメンバーを引き入れては自慢しまくったのは言うまでもありません・・・(笑)。

9月15日(土)〜 サンフランシスコの一日 〜
 翌日。一日フリーでいつもの「集合時間」がない為(笑)、少しゆっくり起きて窓の外を見ると、すでに通りを歩くメンバーの姿が!私達も早速準備をして出掛けます。私達、というのは、関西組のリキさん、しほちゃん、そして関東組の私の3人。今日はリキさんのお誘いで、シリコンヴァレーに住む、ハンドルネーム‘ゆみたち’さんに、サンフランシスコの街を車で案内して頂く事になっていました。

 待ち合わせ場所に車が着くと、中にはもう一人女の子が。彼女はこちらに留学目的でやって来たのですが、例の事件によりサンフランシスコから乗り換えられず足止めを食らっていたところを、ある繋がりによりゆみたちさんのお宅にお世話になっているとの事でした。

 5人になった私達は、人気の飲茶屋さん(すっごく美味しかった!!)で軽く食事を取った後、街なかをドライブ。サンフランシスコの街は、地形に関係なく縦横にきっちり通りを作ってしまった為、急な坂道が多いのです。それもただの「急」ではなくジェットコースター並みで、坂の上からの景色と言ったらそれこそ「見下ろす」という感じ。あまりにも急すぎる為、迂回出来る様になっている所もある程です。わざわざ彼女はより急な道を選んで走ってくださったので、それはそれは大迫力でした(カースタント気分)。

 その後“PIER 39”という港町で観光気分を満喫してから、国道沿いのワインショップにも連れて行って頂きました。カリフォルニアコーナーを隅々までじっくり見て回りましたが、もう見ているだけでお腹いっぱいの気分!しかし本当にお腹も心もいっぱいになるのはこれからなのでした・・・。

 その晩はゆみたちさんのお友達、‘こすもす’さんが夕食に招いてくださるとの事で、まずはゆみたちさんのお家にて旦那様と息子君と合流してから、こすもすさんのお家に到着。思わず見とれてしまう様な素敵なお宅です(この辺りの家並みはほとんどが平屋建て。なのにゆったり広々!日本ではとても考えられませんね〜)。旦那様の作ってくださったウェルカムドリンクを頂きながら、私達は2人の子供達と共に夕食の仕込みのお手伝い。途中でお仲間の‘かんちゃん’さんもやって来て、お料理が少しずつテーブルに並び、ワインの栓が抜かれて「乾杯!」・・・そこからは夢の様に楽しい時間が過ぎてゆきました。次々と出てくるお料理とワインはどれも感動する程美味しく、会話は笑顔が絶えない程楽しく、途中でしほちゃんとお庭で一服する度に、酔いも手伝ってか、何度も「ホント来て良かったー」を連呼するのでした。今思えば、こういったホームパーティーは向こうではよくある事なんだろうなぁ・・・とかなり羨ましい限りで、単純な私はそれだけで移住したくなってしまいます(笑)。

 とにかく最高に素敵なLast Nightを過ごす事が出来たのは、ご一緒くださった方々のお陰です。そんな素敵な方々の素敵なホームページをご紹介致しますので、皆様是非訪れてみてください。ナパで一瞬だけお会いした、同じくお仲間の‘ちゃん・りー’さんのURLもここで再びご紹介。毎日の様にチェックしてはカリフォルニアへの憧れを更に募らせる私なのです・・・。

 『Three in One』(ゆみたちさん)
  → http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Kaede/3409/

 『旧日本陸海軍個人装備ギャラリー』(ゆみたちさんの旦那様 すんぢさん)
  → http://members.aol.com/shuntachi/

 『かんちゃん・ねっと』(かんちゃん)
  → http://www.kanchan.net/

 『ナパバレー・ジャーナル』(ちゃん・りーさん)
  → http://www41.tok2.com/home/rikas/index.html

 楽しい時間とは早く過ぎるもので──既に時計の針は12時を過ぎており──皆さんとのお別れを惜しみつつ、ゆみたちさんとこすもすさんに車でホテルまで送って頂きました。また遊びに来る事を約束して、帰ってゆくお二人を見えなくなるまでお見送り。本当に素晴らしい一日をありがとうございました・・・。

 ホテルに戻ると、他のメンバー達は一人の部屋にお酒と共に集合して、ツアーの反省会の真っ最中でした。私は気持ちが高ぶって言いたい事を上手く言えなかったけれど、ここへ来られた事だけでも幸せで、こんな に素晴らしい仲間達に出会えた事も幸せでした。なかなか飛び込んでゆけない性格から、向こうの方々と上手くコミュニケーションが取れなかった事がかなり悔やまれるけれど、見るもの、体験する事の何もかもが初めてだらけで新鮮で、毎日が驚きと緊張と戸惑いと発見と勉強と興奮と感動と笑いの連続でした(こればかりは単純な私の細胞を褒めてやりたいくらい、笑)。もちろんワインへの愛着も益々沸きましたし、飲む時はきっとあの風景を思い出す事でしょう。カリフォルニアで手に入れたそんな宝物の数々を、自分が抱えているだけではなく、沢山の人達に分けてあげられたらと思います。それにはもっと勉強して、上手く伝えられるだけの知識も身につけないと。

 ・・・なんて、あの夜にはそこまで冷静に考えたり言ったり出来る状態ではなかったけれど、今ツアーを思い返してぎゅっと要約するとこんな感じです。

9月16日(日)〜 さよならCA 〜
 さて、私のレポートもこれでおしまいです。最後に、プロモーション期間中応援してくださった皆様、当店を選んでくださった審査員の方々、私に「行って来い」と言ってくれたBOSS、出発前にやけ酒(?)につきあってくれた妹と友達、ツアー中心配してくださり、帰国後おかえりと言ってくださった皆様、今回のツアーで知り合った全ての方々、そして、こんなに素晴らしい機会を与えてくださった『WINE INSTITUTE(ワイン インスティテュート)』( → http://www.wineinstitute.org/ )の皆様に、心より感謝申し上げます。

 それから。この長い長い「いつになったら終わるんだ?」というレポートに最後までお付き合いくださいました皆様、本当にありがとうございました。

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